認知作業トレーニング(COGOT)
不器用な子どもたちの特徴
発達障害や知的障害をもつ子どもたちの中には、身体的不器用さを併せもつ子どもがいます。不器用さのため運動やスポーツが苦手であったり、身体や手先がうまく使えないだけでなく、自尊感情の低下や周囲からのイジメの原因となることも報告されています。また将来、身体を使った仕事や作業に携わる場合には、不器用さが様々な障壁となることも懸念されます。
身体的不器用さについては、発達性協調運動障害(developmental coordination disorder:以下DCD)といった疾患概念があり、協調運動、すなわち複数の動作を1つにまとめる運動能力が障害されているため、粗大運動や巧緻動作に困難さをきたすと考えられています。
DCDは協調運動が必要とされる日常生活上の身体活動の獲得や遂行に困難さを生じます。かつてDCDは成長につれ自然消滅すると考えられていましたが青年期に入ってもなお持続している例も数多く報告されています。
身体をうまく使うためには、協調運動を円滑に行えることに加え適度な固有感覚・筋力調整や注意・集中力、動作の予測や記憶力なども必要です。そこで私たちはそれらの機能に対応させたトレーニングモジュールを組み合わせ、新たに認知作業トレーニング(Cognitive Occupational Training : COGOT)を開発しました。
不器用さへの適切な対応は特別支援教育のみならず幅広く一般学校教育でも切望されています。また認知に働きかける点からするとDCDをもった子どもたちだけでなく、認知障害を伴った各種精神障害(統合失調症、頭部外傷後遺症、認知症など)、高齢者の運動や運動器リハビリテーションの対象となる身体疾患に対してもCOGOTは十分に役に立つものと期待しております。
認知作業トレーニングの構成
COGOT プログラム
【自分の身体】
①身体を知
②力加減を知る
③動きを変える
【物と自分の身体】
④物をコントロールする
⑤指先を使う
【人の身体と自分の身体】
⑥動きをまねる
⑦動きを言葉で伝える